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2023.06.30

「幸福」こそが人生の意味?! 「人生の意味」から探る、人生100年時代を幸福に生きるヒントとは

「幸福」と「人生の意味」に違いはあるのか?

「幸福とは何か」と「人生の意味とは何か」、この二つの問いに違いはあるのでしょうか。「幸福」と「人生の意味」は似た概念のように思われます。実際、哲学者も「幸福」と「人生の意味」をしばし混同し、その区別に難儀しています。しかし、「幸福だが意味のない人生」あるいは「不幸だが意味のある人生」という言い方は可能だし、そのような人生を想像することができます。たとえば、「楽しい経験だけを出力する機械につながれていて、実際には何もしていない人生」というものがあるとすれば、それはある意味では幸福かもしれませんが、意味のある人生とは言えないような気がします。逆に、たとえば耳が聞こえなくなってしまったあとのベートーヴェンの人生は不幸に見えますが、人は彼の人生を意味のある人生だと言いたくなるのではないでしょうか。

「幸福だが意味のない人生」と「不幸だが意味のある人生」、どちらかを生きなければならないとしたらどちらを生きる?

※その他44.5%は「わからない」「どちらでもよい」と回答。

あなたは「幸福だが意味のない人生」と「不幸だが意味のある人生」、どちらかを生きなければならないとしたらどちらを生きますか?このようなアンケートを取ってみると、「幸福だが意味のない人生」を選ぶ人(36.9%)の方が「不幸だが意味のある人生」を選ぶ人(18.6%) より2倍程度多いことが分かりました。しかし「不幸だが意味のある人生」を選ぶ人も一定数いるようです。

100歳まで生きたい人は、「人生の意味」を「幸福」だと捉える人が多い!

「幸福とは何か?」という問いは古代ギリシア時代から連綿と議論され続けてきています。一方、「人生の意味とは何か?」という問いが議論されるようになったのは19世紀頃からと言われています。割と最近なのです。「人生の意味」とは一体何なのでしょうか。人生の意味一般についてはここでは到底扱いきれないので、個々人でどのように捉えているか調査してみました。

『100歳まで生きたい人を増やす』という100年生活者研究所のテーマとの関係から結果を見てみると、100歳まで生きたい人と100歳まで生きたくない人でその捉え方に差があることが分かりました。100歳まで生きたい人は100歳まで生きたくない人に比べて「人生の意味」を「幸福」として捉える人が多く、逆に「役割」だと捉える人は少ないようです。なるほど、と思いつつ、「人生の意味を幸福と捉える」などと言われると、いよいよ「幸福」と「人生の意味」の違いが分からなくなってきました。

幸福こそが人生の意味?!キーワードは「あるがまま」

「人生の意味を幸福として捉える」とはどのようなことなのでしょうか。そのヒントを得るために、「人生の意味」の哲学を日本に普及させた立役者の一人である山口尚さんの著作から引用してみます。彼は「幸福こそが人生の意味である」と主張しており、以下はそれが何を意味するかについて書かれた箇所です。

それは、人生があるがままのあり方で救われており、あるがままの意味をもつのだ、ということ。もう少し説明の口調で言えば、《一切があるがままにある》という境地において人生はまさにあるがままの意味をもつのだ、ということ。簡潔に言えば、人生はあるがままの姿で美しい、ということ。美において幸福と意味が交錯します。

山口氏がこの主張をするまでに重ねてきた議論をすっ飛ばしてこの結論部だけを読んでも理解しきれないのは当然なのですが、人生の意味としての幸福、そのキーワードの一つは「あるがまま」と言えそうです。「人生の意味を幸福として捉える」、100年生きたい人は、「人生の一切をあるがままに肯定できる人」なのかもしれません。

【調査概要】

■調査名 :「幸福」と「人生の意味」ついての調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員うち715名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2023年5月31日~6月4日

【参考文献】

山口尚『幸福と人生の意味の哲学 なぜ私たちは生きていかねばならないのか』トランスビュー、2019年

プロフィール
研究員
大西 はるひ
コピーライター。詩人。哲学徒。
2社の広告制作会社を経て、2022年大広に中途入社。
「幸福」と「人生の意味」という似て非なる概念の探求を通して、幸福で意味のある人生について考えていきます。