ちょっと鈍感なくらいが、人生にはちょうどいい
日本人はちょっと敏感すぎる?
仕事や日常生活の中で、「ちょっと無理なお願いだな」と思うことや、「なんか嫌なこと言われたな」と感じること、ありますよね。そんなとき、うまく流せずにモヤモヤしたり、ずっと気にしてしまったりすることはないでしょうか?
実際に行った調査でも、6割近くの人が「過剰な要求」や「嫌な言動」を日常的に経験していることがわかりました。
そして、約8割の人が、それらをストレスとして感じています。
また、4割の人は「過剰な要求」や「嫌な言動」を経験した後、切り替えることができずに引きずってしまっているようです。
これでは心が疲れてしまいますよね。
そんなときに役立つのが、“あえて鈍感になる”という考え方です。
職場で過剰な要求や嫌な言動に直面する頻度

過剰な要求や嫌な言動に直面した時の気分

気持ちの切り替え

鈍感力とは
「鈍感力」は、2007年に発行された渡辺淳一さんの著書『鈍感力』がきっかけで話題になった言葉です。
鈍感力とは、周りのちょっとした嫌なことやプレッシャーに対して、必要以上に反応せず、自分のペースを保つ力のこと。いわば、「気にしない力」「スルーする力」と言えるでしょう。
一般的に「鈍感な人」というと、「気が利かない人」や「グズグズして鈍い人」というネガティブなイメージが先行することが多いかもしれません。ですが、鈍感力は「鈍感な人になれ」というわけではありません。
あくまでスキルとして発揮する場面としない場面を見極め、自分自身をコントロールしながら戦略的に使っていくものです。
つまり、鈍感力は“自分自身を守る術”なのです。
経験が長い=鈍感力が高いとは限らない
長い間仕事をしていると、その中で「過剰な要求」や「嫌な言動」にも慣れ、自然と鈍感力が身につくと思いがちですが、調査の結果、それは必ずしも当てはまらないことが分かりました。
20代から60代に「過剰な要求」や「嫌な言動」を経験したときに切り替えられるかを聞くと、世代で大きな差がないことが分かりました。
つまり、経験の長さと鈍感力の高さは必ずしも比例しないのです。
では、「過剰な要求」や「嫌な言動」を気にせず「受け流せる人(鈍感力が高い人)」と「気にしてしまう人(鈍感力が低い人)」には、どのような違いがあるのでしょうか?
気持ちの切り替え/年代別

鈍感力が高い人と低い人の違い
調査によると、「過剰な要求」や「嫌な言動」を気にすることなくうまく受け流せる人は、
自分の限界を理解している(43.1%)
断らないと過剰な負担がかかると考えている(41.1%)
自分の健康や生活のバランスを守るため(36.8%)
他に優先すべき仕事があるから(32.2%)
といった項目が高く、自分の価値観や優先順位をしっかり持っている「自分軸で生きる人」でした。
過剰な要求を「断る」理由

一方、受け流せない人は、
断ると悪い印象を与えてしまう(36.5%)
上司や同僚との関係性を崩したくない(32.7%)
周囲の期待に応えたい(24.9%)
断ることで評価が下がるのではないかと心配(19.5%)
といった項目が高く、他人の評価や期待を過度に気にする「他人軸で生きる人」である傾向が強いことがわかりました。
過剰な要求を「断れない」理由

では、どうすれば「他人軸」から「自分軸」へとシフトできるのでしょうか?
習慣や環境を変えよう
「気にしすぎないようにしよう!」と思っても、それが簡単にできるなら苦労しませんよね。
しかし、考え方や性格を変えるのが難しくても、習慣や環境を変えることで鈍感力を高めることができるとする研究や考え方があるようです。心理学的には、行動を習慣化することで、無意識のうちにストレスや不安を軽減できる可能性があるとされています。
では、どのように習慣や環境を変えることで鈍感力を高めることができるのでしょうか?
例えば、次のような工夫を取り入れてみるのはどうでしょうか?
物理的な距離をとる:苦手な人や嫌な環境から物理的に距離をとることで、 無理に気を使わなくて済む。
小さなルールをつくる:「嫌なことがあったら10分だけ歩く」「不快なメールはすぐ閉じて後で読む」など、自分を守るためのマイルールを決める。
完璧を求めない:すべてに完璧に対応しようとすると疲れてしまう。 「まあ、いっか」と思える余白を作る。
ちなみに、私自身は「嫌なことがあったら何も考えずひたすら歩く」ルールを作っています。これだけで意外と忘れられたりします。
このように、考え方や性格を変えなくても、習慣や環境を変えることで自然と鈍感力を身につけることができるのです。
最後に
人生100年時代。あまりにも敏感になりすぎると、心も体も疲れてしまいます。
だからこそ、適度に鈍感になり、ストレスを減らすことが大切です。
調査でも、「無理なオーダー」や「嫌な言動」を気にせず切り替えられる人の方が、 幸福度が高いという結果が出ています。
幸福度

無理に「変わらなきゃ」と思わなくても大丈夫。今日から少しずつ、鈍感力を意識してみませんか?
きっと、今よりもっと気楽で楽しい毎日が待っていますよ!
【調査概要】
■調査手法: LINEによるアンケート調査
■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 10-90代男女 1,642名
■調査期間: 2025年1月