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2025.03.21

人生100年時代、わかり合える友人を増やす「嫌味50%」

要約すると

  • 飾らない自分で付き合う方が、人にはまた会いたくなる。

  • 不満は、「人」を否定するのではなく、イヤな「部分」を伝える。

  • 自分の考え方の幅を広げていくことは、大人になるための課題。

仕事に、家庭に、友人・ご近所づきあい。

人生100年といわれるこの時代。生きていれば嫌なこともあるけれど・・・

トラブルにしたくない。一方で我慢し続けるのも嫌。

どうしたらいいんでしょうか?

そこで、全国の20-80代の約1536名の方々にアンケートを実施し、

100年人生の人間関係の築き方について、お話を伺いました。

“付き合いの長い友人”の人数、最も多かったのは「2-3人」。

まず、みなさんにそもそもどのくらいご友人がいるかを聞いたところ、

2-3人が最も多いという結果に。(ちなみに私もそれぐらいな気がします)

長い付き合いの友人の人数

さらに、そこに幸福度と掛け合わせると、友人が多いほど幸福度が高いという結果になりました。

ちなみに、7人以上の人たちは、幸福度が高い方が多いご様子。

長い付き合いの友人の人数別:幸福度

付き合いの長い友人が7人以上・・・ちょっと多いような、逆に人間関係のバランスが難しくなるような。

そこで、7人以上のご友人がいる方たちに、どのようなお付き合いをされているか

さらに詳しくお聞きしてみました。

また会いたくなる、「飾らない」「言わない」「無理しない」。

7人以上の友人がいる方たちに、

どのような付き合い方をしているかをお聞きすると、

大きく3つの付き合い方を、アドバイスを頂きました。

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Q.長い付き合いの友人・知人と

上手に付き合うあなたの秘訣・テクニックを教えてください。

❶ 「飾らない」自分でいる

  • お互い、飾らない、明け透けな気持ちで付き合う。(男性・年齢不明)

  • いいところばかりを見せない。(性別・年齢不明)

  • 裏表なく正直に誠実に向き合う。(50代女性)

❷ 悪口を「言わない」

  • 人の悪口は言わない。話を聴く(60代男性)

  • 言い争いをしない。(70代男性)

  • できる限り本音で付き合うようにしてますが、相手の嫌がる行動や言動はしないように配慮してます 。(60代女性)

❸ 「無理しない」

  • また会いたくなる会い方をする(50代女性)

  • 連絡が途絶えている時期があっても気にせず、付き合えるときに臆せず誘い合う。(性別・年齢不明)

  • 定期的に会うなどを決めず、無理せず、会いたいと思った時に声を掛け合って会う。(50代男性)

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対象者:付き合いの長い友人がいる20~80代 380名

こんな付き合い方をすると、自然とまた会いたくなるのだとか。

なるほど!!・・・と思いつつ、“飾らずに”本音をいうと、これを実践するのはむずかしいなと・・・。

そこで、もう少し踏み込んだ質問もさせていただき、分析してみました。

わかり合える友人関係を育む 「嫌味50%」

踏み込んだ質問というのは、

「イヤなことがあったときにどうしているか」について。

私は、先ほどのような配慮や飾らないことが大事と思っていても、嫌なことがあると、

無意識に我慢しすぎて無理したり、そんな無理を重ねてしまうと最後には爆発してしまうことも・・・。

・・・そんなことを考えていた時にこんな本に出会ったんです。

-京都では家同士でも300年お隣さんですね、といったことがあり得る環境です。(中略) そういうところでは、本当は不満があって、困っていて、イヤだなと思っていても、それを相手の気持ちに火をつけてしまうことなく、うまく伝える方法が必須になります。そういったところで磨かれたコミュニケーションがあの独特のエレガントな方法ではないでしょうか。
参照:中野信子『エレガントな毒の吐き方~脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術~』日経BP

もしかしたら、毒の吐きだし方や伝え方に何かヒントがあるかもしれないと思い、

思い切って、7人以上の友人がいる方にどのくらい“嫌味”を伝えているか聞いてみました!

(失礼な質問をスミマセンでした!!)

友人への嫌な気持ちの表明具合

どうやら、50~80%程度の嫌味を込めて伝えるのが秘訣の様子。

でも、嫌味50%ってどういうこと?

具体的に30%/50%/80%それぞれの嫌味を書いてみてもらったところ・・・(強引な質問スミマセン、、)

皆さんの回答から、こんな傾向がわかってきました。

対象者:長い付き合いの友人がいる20~80代 380名

私は反省しました。30%じゃ全然伝わってない・・・。

過剰に配慮した結果、何も言えてなかったのかも。

「ハーモ二-(調和)」より「ポリフォニー(多声性)」

この話を聞いて、とある本の一説を思い出しました。

「オープンダイアローグで言われている対話哲学と似て非なるものが、日本で『対話』とされるものの主流を占めています。それが『空気を読む』『同調圧力に従う』『忖度する』『和を重視する』ことです。それは「ハーモニー(調和)」への希求です。」
「一方、オープンダイアローグで大切にされている会話哲学においては、意見を最初から一致させる必要もないし、まとめるために相手を説得する必要もありません。それよりも、一人ひとりが、自分の想い(異なる声)を出し合い、それぞれの声がそのものとして尊重される『ポリフォニー(多声性)』が大切にされています。」
「その際大切なのは、『あれかこれか』『善か悪か』『敵か味方か』・・・といった二項対立的な発想になっていないかに気をつけることです。複雑な現実を理解する際、二項対立的な視点で分析すると、そこで語られている大切な何かを切り落としてしまいがちです。」
参照:竹端寛/鈴木鉄忠/高橋真央『あなたとわたしのフィールドワーク ~関係性の変容から始まる旅~』現代書館

私たちは、いつのまにか無言の「調和」をして、そこで止まっているのかもしれません。

人生100年時代、わかり合える友人とともに暮らしていくには、無言の「調和」を越えて、ひとりひとりの50%の嫌味(=言いづらい自分の主張)を出し合い、その上で二項対立な状態で終わらせるのではなく、お互いの想いをわかり合うことが必要なのかも。7人の以上の友人のいる幸福度の高い人たちのアンケートからそんなことを学ばせていただきました。

最後に80代女性からいただいた印象的なコメントを添えさせていただきます。

「友人知人とのそれぞれの感じ方や考え方が違っていても、お互いに“違いを尊重できる関係性”が成り立つかどうかが大切だと思います。許せないと思う関係性の友人とは、本当の信頼が築けないと思うので。

自分の感覚や考え方の物差しや尺度の幅や範囲を、人間として大人になるための課題として認識したい。人として成長していければ、わかり合える友人は増えて行くと思う。」

人間関係の構築は難しく、複雑で、面倒なことも多いですが、わかり合える友人たちとの思い出を振り返ると、この80代女性がおっしゃるような大事な気づきが多かったような。そしてこれからもいろいろな方に出会えることを考えると、私は「人間関係・・・好きだったのかも」と、物思いにふけるのでした。

【調査概要】

■調査名 :人生100年時代の人づきあいに関する調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 アンケート対象者 20~80代男女2,028名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2024年12月

プロフィール
研究員
宮下 陽介
2010年大広入社。マーケター歴13年。定年後、ふさぎ込みがちな父が、移住してみるみる元気になった姿を見て、100年人生に興味を持ち始め、研究をしております。LEGO® SERIOUS PLAY®というレゴブロックを使ったワークショップの認定ファシリテーターの資格も保有。