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2025.03.28

人生100年時代に「別れ」が教えてくれる “特別な意味”

人生100年、出会いが増えれば別れも増える。

3月も後半に差しかかり、学生さんは卒業シーズン真っただ中ですね。学生以外の方も、環境が変わりやすいタイミングのため、新たな出会いへの期待とともに、別れを寂しく感じている方も多いのではないでしょうか。

別れとは、仏教において四苦八苦の「八苦」にあたり、人生において避けることのできない苦しみとされています。それはたとえ寿命が100年になっても変わらず、むしろ人との出会いが増えるほど、別れも必然的に増えることになるでしょう。

今回は「別れ」が人々の人生において、どのような影響を与えているのか、調査してみました。※恋愛における「破局」および「死別」を除いた、卒業や引っ越し、転職などで大切な人と離れ離れになった経験について、お伺いしました。

別れは、離れる側も送り出す側もつらい

はじめに、20-80代の男女の皆様に、これまでの人生でつらいと感じたお別れの経験があるかどうかを質問し、経験があると回答した方に、具体的にどのようなお別れだったかをお伺いしました。

つらい別れの経験有無

つらいと感じた別れの経験

この結果を見ると、66.2%の方がつらい別れを経験し、自分の引っ越しや卒業など「自分」が主語のものと、相手の転職・引っ越しなど「相手」が主語である項目が入れ混ざるランキングとなりました。別れとは、離れる側と送り出す側、双方にとってつらく感じる出来事だと言えそうです。

つらい別れは、時間が経つと意味のある経験に変わる

実際、お別れの瞬間には、「できることなら離れたくない」と感じていた方が多数いらっしゃいました。

お別れした当時の気持ち

一方で、その経験を今振り返ってどう思うかお伺いしたところ、興味深いことに、「意味のある経験だったと思う」という回答が非常に多く、88%となりました。

お別れした経験を振り返った、今の気持ち

お別れする当時は、離れたくないという気持ちが強い人が多数派であったにもかかわらず、今振り返ると、意味のある経験だったと捉える人が9割に近い結果に。なぜこのような変化が起きるのでしょうか。

別れて改めて気づく、人生の宝物とは

ヒントは、お別れがつらいと感じたその理由にありました。

なぜお別れをつらいと感じたのかという問いには、「会う機会が減る」「時間を共有できなくなる」「疎遠になる」など、これまであった関係性が失われることへの懸念が上位となる一方で、「その人が心の支えだったことを再認識するから」という、改めて相手の大切さに気づいたからという声も多く上がりました。

別れをつらいと感じる理由

別れをつらく感じるということは、会う機会や時間を失って「残念に思う」だけでなく、それだけ自分にとって大切な存在だったと「改めて感謝する」気持ちの表れなのかもしれません。

また、「自分にとって(別れは)意味のある経験だったと思う」と回答した方に、どのような意味があったかをお伺いしたところ、以下のような結果となりました。

別れの経験の意味

別れの経験によって「その人との時間・思い出が宝物になった」が1位となりました。これは、お別れして初めて宝物になるというよりも、お別れによってその人との日々が宝物だと改めて気づくことができた、ということかもしれません。

また、つらい別れが「自分自身に目を向ける」きっかけになった方も多く見受けられました。自分の感情の変化にどう向き合うか考える機会になったり、人との関わり・つながりを大事にしたいと改めて意識するきっかけにもなると感じました。

別れの経験が、人生の糧になる!

最後に、お別れの経験が「ない人」と「ある人」で、日本人の平均といわれる、幸福度が【7点以上】の人の割合を比較してみたところ、意外にも、大切な人とのお別れを経験した人のほうが、比較的幸福度が高いことがわかりました。

つらい別れの経験と幸福度の関係

この結果は、「幸せのためにはつらい別れが必要」ということではなく、別れの経験を通して、前述した「相手への“感謝の気持ち”を再確認し、“人生の宝物”に気づけたこと」が少しずつ自分自身の糧となり、結果的に幸せに紐づいていく、ということを示しているのではないかと感じました。

もしもお別れによって孤独や不安を感じたなら、それだけ相手と素敵な関係を築けたことに誇りを持ち、改めてその人との思い出を振り返ってみてはいかがでしょうか。

筆者自身も最近、古くからの親友が拠点をアメリカに移すことになったり、公私ともに仲よくしてくれた職場の後輩が転職したりと、大切な人との別れのつらさをひしひしと感じる機会が多かったのですが、改めて思えばどちらもこんなに大事な存在になっていたのだと気づくきっかけでもありました。こんな風に考えると、別れはたださみしいだけではない、あたたかくもあり特別な出来事なのだと、少しだけ前向きに思えるかもしれません。

プロフィール
研究員
龍野 美桜
2020年大広入社。マーケターとして世の中を見つめる仕事を通して、
せっかくなら世の中そのものを明るくしたい!と思い、研究活動に参画。
今を生きる皆さまの生のお声を大切に、
日常を小さな幸せで満たすためのヒントを探し続けます!