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2025.04.11

「推し友」はもはや「人生の友」?

~推し活だけじゃない。人生の幸福度を高める「推し友」の魅力を探る~

皆さん「推し友」*はいますか?筆者の答えは「YES!」です。「推し友」とは、推しの話題のみならず、時に自身の悩みを相談するなど、人生にとっても大切な存在です。そして、他の友達にはない魅力にますますその関係を大切にしたいと思うようになっています。皆さんはいかがでしょうか?

そこで今回は、推し活が一般化するにつれ「推し友」の実態はどうなっているのか、「推し友」は推し活だけでなく「人生の友」になっているのか、また他の友達ではなく「推し友」ならではの魅力とは何かについてを中心に、探っていきたいと思います!

*「推し友」とは、共通の推しを応援する友達(友人・知人・家族等含む)を指します。

現在推し活者中、「推し友」がいる人は約7割

まず、「現在推し活をしている人」に、「推し友」の有無を聞いてみると…

じつに約7割の人が「現在あるいは過去に、『推し友』がいる・いたことがある」=「推し友経験層」であることが明らかに。「現在『推し友』がいる人」だけでも約5割います。つまり現在推し活をしている2人に1人には、繋がりのある「推し友」がいるということになります。

現在推し活者中の、「推し友」の有無

「推し友」との知り合い方は約4割が「SNS」

では、「推し友経験層」は「推し友」とは何で知り合っている・いたのでしょうか?

回答を見てみると、「SNS」が約4割と最も多い結果に。次いで「イベント・コンサート・劇場などの会場で」が約3割となっています。

これは、推しを応援する場が「①ネット環境」「②リアル環境」ともに活況で、双方で推し活市場を盛り上げている結果であると言えます。

同時に、「①ネット環境」ではSNSの機能により、共通の興味をもつユーザー同士が簡単に繋がり交流出来ること、「②リアル環境」では現場で感動を味わう共通体験から、参加者同士の一体感や連帯感が増すこと、この2つを基盤に、推しとだけでなく「推し友」との出会いや関係構築に繋がる環境が整っている表れであると言えます。

「推し友経験層」の、「推し友」との知り合い方

「推し友」がいるほうが「推し活の満足度」が高い

とはいえ、推し活は「推し友」の有無に関わらず行えるもの。「推し友」の存在は、推し活に何か影響を与えるのでしょうか?

そこで、「推し友経験」別に「推し活の満足度」について聞いてみると・・・

「推し友経験層」のほうが「かなり満足している・いた」との回答が「推し友非経験層」よりも12.0pt高い結果に。さらに、「推し友経験層」で「『推し友』がいる・いたことで満足度が高まった」との回答が約9割に上ることが明らかになりました。

「推し友」の存在は、推し活の満足度を高め、推し活をより充実したものにしてくれる力があるようです。

「推し友経験」別、推し活の満足度

「推し友経験層」の、推し活の満足度変化

「推し友」との話題は「推し関連以外もする」が約8割

推し活の満足度を高める「推し友」の存在。「推し友」との交流の“中身”が気になります。

そこで、「推し友経験層」に「『推し友』との話題」について聞いてみると・・・

「推しに関連する話だけでなく、推しに関連しない話もする・した」が84.1%にのぼり、「推しに関連しない話」をしていることが明らかに。

そこで、さらに「話題の詳細」を聞いてみると・・・

「推し関連の話」が高いですが、「自身の友人・知人・家族などの話」(45.9%)、「自身の仕事や学校などの話」(44.2%)、「推し活以外の他の趣味の話」(41.7%)と、「自身の話」も共に高いことが分かりました。

「推し友」は、人生の多様な出来事を共有する友達と言えそうです。

さらに、「『推し友』と他の友達との会話の盛り上がり方」について聞いてみると…

「『推し友』のほうが、かなり盛り上がる・上がった」が35.2%、「『推し友』のほうが、やや盛り上がる・上がった」が29.9%で、「『推し友』のほうが盛り上がる・上がった」計が65.1%という結果に。

「推し友」とは、コミュニケーションの共鳴度が高まる、特別な関係性があると言えそうです。

「推し友経験層」の、「推し友」との話題の詳細

「推し友」がいるほうが「人生の幸福度」が高い

話題の幅が人生の多様な出来事におよび、会話も盛り上がる「推し友」。そんな「推し友」がいると、人生に何か違いが出るのでしょうか。

そこで、「推し友経験」別に、人生の「幸福度」を聞いてみると・・・

「推し友経験層」のほうが、「推し友非経験層」よりも「高幸福度(8〜10点)」が11.0pt高い結果に。さらに、「推し友経験層」の約8割が、「幸福度が『推し友』の存在により高まっている・いた」と回答しました。

人生の様々な出来事を共感しながら共有出来るだけでなく、人生の幸福度を高めてくれる「推し友」。「推し友」はもはや推し活のみの友達ではなく、「人生の友」と言えるのではないでしょうか。

「推し友経験」別、人生の幸福度

「推し友経験層」の、人生の幸福度変化

「推し友」の魅力は「4つの体験」の深化

もはや「人生の友」とも言える「推し友」。その魅力とは一体何なのでしょうか。

「推し友経験層」に、「他の友達ではなく『推し友』ならではの魅力とは何か」を聞いてみると・・・

最も回答が集中したのは、「①感情体験」の深化ができること。「同じ熱量で推しへの思いを表現しあえる」(67.3%)、「推しのイベント等での深い感動を共有できる」(62.0%)など、推しに対するありのままの好意や感情を解放できるということが挙げられました。

次いで、「②情報体験」の深化ができること。「推し仲間ならではの独自のワードやネタで話ができる」(43.9%)、「推しに関する情報の質・量・早さのレベルが高い」(38.3%)など、共通の推しがいるからこそ情報の沼に浸かりできる会話があるようです。

3つ目は、「③新世界体験」の深化ができること。「様々な年齢の人と、共通の話題ができる」(29.0%)、「推し友を通じて、新たな友人ができる」(26.5%)など、今まで接点のなかった世界への入り口ができ、広がる体験ができるのでしょう。

4つ目として、「④繋がり体験」の深化ができること。「推し活以外で利害関係がなく、気楽な関係でいられる」(20.8%)、「推し活での信頼を踏まえて、自身の話ができる」(16.3%)など、気楽にも親密にも、独自の繋がり方による絆が形成されるのでしょう。

「推し友」の魅力は、この「4つの体験」によって生まれていると言えそうです。

「推し友経験層」の、「推し友」ならではの魅力

最後に、「推し友経験層」に、素敵なお声をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

■「感情体験」「情報体験」「新世界体験」「繋がり体験」のお声

コアな話をすることができる相手は貴重です。話したくても普段の生活ではできないので。ネットで知り合って実際に会って話すことでストレスも発散できますし、それを楽しみに日々生活することもできます。長い付き合いになると推しだけでなく私生活の相談もお互いでき年齢関係なく友人として過ごせることはありがたいです。(40代女性)

■「情報体験」「繋がり体験」のお声

私は年齢が高めなので、推しの情報を沢山得られないが、推し友がいつも教えてくれるので嬉しい。推し以外に主婦としての立場での悩みなどを相談でき、今では本当に何でも話すことができる友達になっていて、そのような友達ができて推しには凄く感謝している。(60代女性)

■「繋がり体験」のお声

日常生活の中で辛いことがあり身近な人たちにはなかなか相談を切り出せなかった時、私のわずかなSNSの変化を感じ取って推し友が気遣いの言葉をかけてくれた!(40代男性)

「推し友」は、推しがもたらしてくれる「人生の友」=「人生のプレゼント」なのかもしれません。推しだけでなく、「推し友」との関係も大切にすることで、より幸せで豊かな推し活、そして人生を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【調査概要】

■調査名:推し活と推し友に関する調査

■調査対象者:100年生活者研究所LINE会員 20代~80代男女 481名

■調査手法:LINEによるアンケート調査

■調査期間:2025年2月

プロフィール
研究員
髙橋 薫
広告会社においてマーケティング職、営業職、管理部門職に従事。
社会は様々な立場の人が支え合っていると日々感じる体験からも、
人生100年時代どうしたらそれぞれポジティブに生きていけるか…
「多様多幸」に生きるヒントを探究していきます。