敬老の日に考えよう!歳が離れた人との繋がり「世代間コネクト」を持って人生を幸せに!
要約すると
「世代間コネクト」を持つ人は、2人に1人に留まる時代に。
「世代間コネクト」を持つ秘訣は、同じ趣味を持つこと。
「世代間コネクト」を持つと日々が豊かになり、100年人生に前向きに!
はじめに:繋がりたくても繋がれない時代
今年の敬老の日、何かご予定はありますか?
そもそも敬老の日とは、制定された昭和41年では、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」であり、また、「ひろく国民が老人の福祉についての関心と理解を深め、かつ、老人が自らの生活の向上に努める意欲を高める日」とされています(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4232&dataType=1&pageNo=1)。
制定の言葉通り、祖父母に会いに行ったり、お世話になっている年上の方にお礼の言葉を贈ったり…なんて方もいらっしゃると思います。しかし実は、ほとんどの方が何もしていないのが実態のようです。
かつては、国や地域をあげて長寿の方をお祝いする日でしたが、現代では都市集中によって地域の交流の減少により、自分の家族以外の年の離れた人との繋がりが希薄化しています。アンケート調査によると、昨年の敬老の日に「特に何もしていない」と回答した人は72%で、およそ4人に3人という結果になりました。
【敬老の日の行動 実態】

では、なぜ敬老の日に何もしないのでしょうか?
お休みなので休息をとりたい方もいれば、家族サービスにあてる方もいるかもしれません。しかし、中にはお祝いする相手がいないために、何もできない方もいるようです。
「100年生活カフェ かたりば」にご来店いただいていた26歳の女性にお話をお伺いしたところ、次のようにお答えいただきました。
「自分の祖父母には、誕生日にお祝いをしていたので敬老の日は特に何もしていなかったです。でも、祖父母以外のシニアとは関わりはないですが、できるなら交流したいです。おしゃべりしてみたいし、特に、趣味の裁縫など生活の知恵を教えてほしい。けれど、自分からいきなり話しかけるのはハードルが高い」(20代/女性)
敬老の日にお祝いできる間柄になりたいけれど、普段の生活で接点がないため、どのように繋がりを持てばいいのか分からない…そんな悩みがあることが分かりました。
そこで、今回は、すでに世代間で交流をしている人にアンケート調査を実施しました。
「世代間」と言っても人によって考え方は様々だと思いますので、今回は「世代間ギャップ」の対義語として、「家族・親戚」「職場関係」以外で「10歳以上の年齢差がある人との交流」を「世代間コネクト」と定義します。
そのうえで、「10歳以上年上の人との交流」を「年上コネクト」とし、「10歳以上年下の人との交流」を「年下コネクト」として、それぞれの歳の差のある人との出会いや繋がりをつくるコツを聴取することで見えてきた「世代間コネクト」の秘訣をお伝えします。
「世代間コネクト」の実態とは
まずは「年上コネクト」を持つ人々について明らかにしていきます
調査の結果、「年下コネクト」を持つ人は46%で、「年上コネクト」がある人は49%でした。
両者ともにおよそ2人に1人の割合であることが分かりました。
【世代間コネクト 実態】


世代間「コネクト」の特徴とは
次に、「世代間コネクト」における良い点について調べました。
アンケートの結果、「年下コネクト」「年上コネクト」どちらも共通して、「同世代では分からない・知らないことを教えてくれる」「同世代とは違う会話ができる」、また「交流を通して、新しい気づき・価値観を得られる」が高いスコアとなりました。同世代とは違う視点を持った人との交流が自分の世界を広げてくれることに価値を感じていることが伺えます。
また、それぞれの特徴として、「年下コネクト」では「交流を通して、日常に刺激ができる」「交流を通して、気分が明るくなる」が相対的に高い結果に。一方で、「年上コネクト」は、「同世代には言いづらい悩みを相談できる」が相対的に高い結果となりました。
【世代間コネクト 交流の良い点】

さらに、それぞれの特徴を調べるべく、自由回答の形式でも「交流の良い点」を聴取しました。
「年下コネクト」の交流の良い点
趣味などで若い人と交流があり、気分が若返る。自分の経験や知識を話すと、とても真剣に聞いてくれ楽しくなる。(男性/70代)
世代が離れた人と話すと、やはり明るく先への希望が感じられる。昔は自分もこうだった思い、いくら歳を重ねても毎日毎日を楽しく感謝の気持ちを持つことの大切さを感じます。(女性/80代)
インターネットなどの操作を色々教えてもらい、世界観を持つ事が来て楽しい人生を送る事が出来ている。(女性/80代)
高年齢になったので年下の人が多い。いろいろな事、考え方を知ることができる。また、ネットで12年間ツイッターの登録しているので趣味関係の人や知人が自然に広がり、著者、画家、知識人をフォローして学ぶことが多い。(女性/80代)
「年上コネクト」の交流の良い点
自分が描くキャリアデザインとは異なる世界で生きているので、自分の知らないことを知っていたり、経験したりしていたりして、キャリアプランニングの参考になる(男性/20代)
デリケートな悩みなども相談しやすく、また年上の方だと経験も豊富なので的確なアドバイスが貰えやすく問題解決につながる(女性/20代)
自分が知らない時代の話を聞ける。戦時中の話は興味深かった。(女性/30代)
前の賃貸マンションの70歳代大家さんと交流があり、節目節目でお祝いをして頂いたり、子供を可愛がってもらったり、良い関係を築けている。(女性/30代)
年下よりは、年上の方との交流のほうが好き。おばあちゃん子だったこともあり、高齢の方が好きです。高齢の方から聞く懐かしい思い出話は、自分が体験したことがないことがほとんどなので、いつもワクワクしながら聞くことができます。(女性/50代)
以上のことから、「年下コネクト」では、年下の人たちとの交流において新たな楽しみや気づきが得ることができ、日常が刺激的になっていることが伺えます。
「年上コネクト」では、人生の先輩方の豊富な人生の体験談を聞けたり、相談相手として頼りできることに、交流の良さを感じているようです。
「世代間コネクト」の秘訣とは
では、実際に年の離れた人たちと、どこで出会ってどのように交流を深めていけばいいのでしょうか?
ここからは「世代間コネクト」の交流の秘訣を紐解いていきたいと思います。
調査にて「出会いのきっかけ」「交流のコツ」を自由回答の形式で聴取し、「テキストマイニング」という回答のなかでスコアが高いものを大きな文字で表す分析を用いて分析を深めていきます。
「年下コネクト」の秘訣
まずは、「年下コネクト」の「出会いのきっかけ」に着目してみます。
最も大きく出現したのは、「趣味」でした。
【年下コネクト 出会い方】

※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析(https://textmining.userlocal.jp/ ) 多く使われているキーワードを、視覚的に表示・把握できる機能。文字が大きいほど出現率が高い傾向があり、青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞を示します。
具体的にどのような趣味を通して出会っているのでしょうか。趣味に関する具体的な回答をいくつかピックアップしてみます。
スローエアロビクスのサークル(女性/70代)
麻雀とか趣味を通じて(女性/80代)
歴史が好きなので、数年前まで20年以上も、同好会に参加していました。趣味が同じなので、30年以上年齢差があっても、何も違和感はなかったです。どこのお城巡りをした?とか、話題は尽きません。(女性/80代)
趣味のボウリング及び卓球を通じて(男性/80代)
趣味を通して同じ時間や体験を共にしたり共通の話題で会話したりすることで、関係性を築けるようです。
また、テキストマイニングでは「近所」「地域」も出現しています。ご近所付き合いから仲を深める場合もあるようです。
町会の役員活動や隣近所での朝晩のご挨拶(女性/70代)
観覧版や、外で会うと話したりしていつの間にかよく話すようになりました。(男性/80代)
自分の土地を売ったときにそこに建売が立ち、入居してきた家族が娘と同じくらいの年代なので頼りにされている(女性/80代)
趣味のような共通の話題がなくとも、ご近所さんとの挨拶や日々の偶然の出会いなど、小さな交流が「出会いのきっかけ」になる場合もあるようです。
次に「交流のコツ」に着目してみます。すると、出会い方と同じく「趣味」が最も大きく出現しました。
【年下コネクト 交流のコツ】

※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析(https://textmining.userlocal.jp/ ) 多く使われているキーワードを、視覚的に表示・把握できる機能。文字が大きいほど出現率が高い傾向があり、青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞を示します。
同じく、趣味に関する具体的な回答をいくつかピックアップしてみます。
同じ趣味なので気軽に会話ができる。(男性/70代)
ランチに出かけたり、集まって「推し」の話題で盛り上がる(女性/70代)
同じ趣味を持ち、週一回の集まり(女性/70代)
地元の公民館で卓球を指導したり楽しんでいる。休憩時間の会話も弾んでいます。(男性/80代)
さらに回答を見ていくと、「年上コネクト」を持つ方々の特徴として「交換」「おすそ分け」など、相互のやり取りを行っている回答が複数ありました。
日常生活の報告や、便利用品、お得情報の交換(女性/60代)
綺麗なお花を愛でさせていただいたり、互いにお裾分けしたり、何気なく立ち話をしたりしています。挨拶だけでなく、この何気ないお喋りが結構大事かなと感じています。(女性/60代)
庭で採れた野菜などをたまにあげる。(女性/70代)
お互いに尊敬の念もってつながってきた(男性/80代)
世代間で交流すると「年上を敬う必要がある/年下は甘やかす必要がある」といった暗黙の上下関係を感じてしまい、中々交流ができない側面もあります。しかし、すでに「年下コネクト」を持っている人は、相手に上下関係を感じさせない対等な関係を築くことができているのかもしれません。
「年上コネクト」の秘訣
続いて、ここからは「年上コネクト」の考え方を紐解いていきます。
まず「出会いのきっかけ」について着目します。すると、「年下コネクト」と同じく「趣味」が最も大きく出現する結果となりました。
【年上コネクト 出会い方】

※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析(https://textmining.userlocal.jp/ ) 多く使われているキーワードを、視覚的に表示・把握できる機能。文字が大きいほど出現率が高い傾向があり、青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞を示します。
同じく、回答をいくつかピックアップしてみます。
Xで趣味の話をしている中で繋がっていった(女性/20代)
猫を飼っている事から繋がりができました(女性/20代)
お互い動画配信アプリのリスナーとして出会った(男性/30代)
共通の趣味、推し活仲間(男性/40代)
共通の趣味を持つことが、年齢の壁を越えるために有効であるようです。特に「年下コネクト」の特徴として、リアルだけでなくオンラインでも活発に繋がっていることが伺えます。
また「近所」「地域」も出現しています。「年下コネクト」と同じく、ご近所付き合いから仲を深める場合もあるようです。
バイト先のパートさんやアパートの大家さんなど、自分が所属する先で知り合うことが多いです。(女性/20代)
ママ友募集で、SNSで繋がり仲良くなり、近所だったので実際に会うようになった(女性/20代)
地域の清掃活動など。(男性/30代)
近所に住んでいるので挨拶から話すようになった(女性/50代)
地域の健康教室(女性/50代)
近年、若年層の地域の繋がりは希薄化してきていると言われていますが、「年上コネクト」を築いている人はご近所の付き合いも積極的に参画しているようです。
次に「交流のコツ」に着目してみます。
こちらも「年下コネクト」と傾向が同じく、「趣味」が大きく出現しています。
【年上コネクト 交流のコツ】

※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析(https://textmining.userlocal.jp/ ) 多く使われているキーワードを、視覚的に表示・把握できる機能。文字が大きいほど出現率が高い傾向があり、青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞を示します。
「趣味」に関する具体的な回答をいくつかピックアップしてみます。
好きなコンテンツについて話す(女性/20代)
飲み会をした中で共通の趣味の話題とかを話す。(男性/50代)
犬の散歩中に立ち話。話の内容は犬のことが中心。(女性/50代)
改めて、共通の趣味が年齢差のハードルを越えるために有効であることが分かりました。
趣味以外では、また「会話」「話題」も大きく出現しています。回答を見ていくと、「年上コネクト」を持つ人たちは深い話題で交流していることも特徴的でした。
分からないことを教えてもらったり、家族に話せない悩みを聞いてもらったりしている(女性/20代)
結婚感や恋愛観などそれぞれが持つ価値観を提供し合っている。(男性/30代)
同じ病気について話し合う(女性/30代)
人生観や悩みなどは、人生の先輩である年配の方たちだからこそ相談しやすいことが伺えます。より相手の内側に踏み込んだ会話が、より親密な関係が築く一助となっているのかもしれません。
以上のことから、「出会いのきっかけ」「交流のコツ」にどちらにおいても、どちらの考え方も共通して「趣味」や「近所」「地域」の話題が役に立つことが分かりました。
それぞれの特徴としては、「年下コネクト」では対等な関係を築くこと、「年上コネクト」では深い話題で対話できる間柄であることが交流の秘訣のようです。
「世代間コネクト」がもたらす人生の価値とは
さらに今回の調査では、「世代間コネクト」をしている人が人生にもたらす価値も調べてみました。
人生100年時代を100歳まで生きたいかどうか、「世代間コネクト」がある人とない人で比べてみました。すると、「年下コネクト」がある人は12%、「年上コネクト」がある人は15%、それぞれ繋がりがない人よりも高い結果となりました。
【100歳まで生きたい人の割合】

ここまでで見てきたように、「世代間コネクト」を持つことは、同世代との交流では得られない価値をもたらします。
若い人との交流で日々の人生が刺激的だと思えていることや、悩んだときに頼れる人生の先輩がいる安心感が、より長く人生を謳歌したいという気持ちにすることに繋がっているのかもしれません。
大崎博子さんに聞く、「世代間コネクト」の心得
「世代間コネクト」の秘訣では年下でも年上でも、趣味が大事であることが明らかになりました。しかし、今は特に熱中できる趣味がない、でも新しいことに挑戦することに二の足を踏んでいる…なんて方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、90歳でX(旧Twitter)を使いこなし、老若男女およそ20万人のフォロワーがいる「大崎博子さん」にお話しをお伺いしました。また、大崎さんはご趣味で太極拳や健康麻雀もお好きとのことで、日々リアルでもオンラインでも年下の方と交流されている大崎さんに「世代間コネクト」の秘訣をお伺いしました。

デジタルを使って、若い人と共通の話題を持つ
私は90歳ですから、普段お付き合いしている方は皆さん年下です。若い人とお付き合いするためには、肉体的だけでなく精神的にも健康であることが、一番大事だと思っています。
具体的には、お話が合うためにデジタルを使えないといけないと思っています。LINEが利用できれば、ほとんどの人とオンラインで繋がれるようになります。今はみんなで集まっても、スマホでニュースや野球を見ますよね。「こういう風に使えるよ」って教えあったりしています。やり方を教えると「90歳なのにすごい!」と褒められます。デジタルを使えると共通の話題できるので、繋がりができます。
とはいえ、誰でも毎年1つずつ歳をとるもの。新しいことに、できない・分からないことは当然。だから、全部できなくてもいいんです。ちょっとずつ慣れながら、色んなことを挑戦していく気持ちが大事です。
好きなことで、共通の話題を持つ
あと、私はスポーツ番組が好きなので、バスケ、相撲、野球…何でも見ます。X(旧Twitter)では、それが年下との共通の話題になっています。(甲子園シーズンのため)「仙台育英は強い!」みたいなツイートをすると、「私の出身校。応援ありがとう」みたいなお返事が来ます。
同世代・年齢の近い人と話すと「医者」「薬」の話題が多いですが、若い人は色んな話題で会話をします。やはり、若い人との会話パワーをいただけますね。
おわりに:繋がりのない時代だからこそ、繋がり方も自分次第!
自分の好きな趣味で繋がりをつくる、ご近所さんと挨拶してみる、後輩と対等な関係を築いてみる、家族や友人に話しづらい悩みを先輩に打ち明けてみる…本稿で、「世代間コネクト」の秘訣を様々にお伝えしましたが、大事なことは、自分の考え方や生き方に適した交流をすることではないでしょうか。繋がり方は、人それぞれ。自分の日常生活のなかで歳の差がある人との出会いは転がっています。
歳が離れた人との交流にハードルの高さを感じていた人が、この記事を見て少しでも一歩を踏み出せることができたら幸いです!
幅広い年代の人との繋がりは、人生を幸せにするヒントをくれるはずです。今年の敬老の日は、「世代間コネクト」の一歩を踏み出す日にしてみてはいかがでしょうか?
【調査概要①】
■調査目的:敬老の日の実態把握調査
■調査対象者:20~70代の男女 3600名
■調査手法:インターネットモニター調査
■調査期間:2023年2月
■調査会社:株式会社 H.M.マーケティングリサーチ
【調査概要②】
■調査目的:人生100年時代における世代間交流の価値把握調査
■調査対象者:20~80代の男女 728名
■調査手法:インターネットモニター調査
■調査期間:2023年8月
■調査会社:株式会社 H.M.マーケティングリサーチ

幼少期から自分の祖父母にたくさんお世話になった経験や、趣味のボランティア活動にて老人ホームに訪問した経験などから、社会における世代間交流の活性化の一助になりたいと思うように。
「将来の夢は、全シニアの孫娘」を目標に掲げ、日々シニアマーケティングの業務に従事。