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2023.06.02

長生きの秘訣は笑いの「量」よりも「質」!? 100年人生を豊かに過ごす「質のいい笑い」とは?

要約すると

  • よく笑う人の方が「長生きしたい」と思っている。

  • テレビ番組を見る笑いよりも、家族や友人との会話での笑いの方が長生きの活力につながる

  • 長生きの活力には、体験や感情の共有・つながりの中で生まれる「双方向的な笑い」が重要。

「よく笑う人ほど長生きする」という話は、どこかで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

実際に、山形大学の研究でも、笑う頻度が高い人ほど病気のリスクが下がることが研究結果として明らかになっています。 (参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30956258/

今回私たちが実施した調査でも、「あなたは日頃よく笑うほうだと思いますか?」という質問に「はい」答えた人たちは、そうでない人たちに比べて「100歳まで生きたい」と思う人の割合が多いことがわかりました。

【笑いの頻度別】100歳まで生きたい人の割合

しかし、その差は4.4ポイントと小さく、明確な違いがあるとは言い切れない結果になりました。 ここで私たちは、「よく笑うか?」だけでなく、「なにで笑うか?」も、長生きしたいと思う活力に関係するのではないかと考えました。

そこでまず、生活者が日頃どんなことで笑っているのかを調べてみたところ、最も多かったのは「バラエティやお笑いなどのTV番組・動画」で63.1%、次いで「家族との会話」「友人や同僚との会話」で笑う人が多いことがわかりました。

コンテンツにあふれている今の時代では、日常の会話よりもテレビや動画を見ながら笑う機会のほうが多いのかもしれません。

日頃笑っている内容(何で笑うか)

さらに分析を進めると、テレビや動画でよく笑うと答えた人よりも、家族との会話・友人や同僚との会話でよく笑うと答えた人のほうが「100歳まで生きたい」と思う傾向が強いことがわかりました。

テレビや動画で笑う人と家族との会話で笑う人でのスコアの差は8.5ポイントと、冒頭のよく笑うほうか否かのスコア差(4.4ポイント)よりも大きく、 どうやら、よく笑うか?という笑いの「量」よりも、なにで笑うか?という笑いの「質」が、長生きの活力に影響しているようです。

動画を見て笑う一方的・受動的な笑いに比べて、人との会話で生まれる双方向的・能動的な笑いには、体験・感情の共有や人との“つながり”の実感など、人生を豊かにする要素が多いのかもしれません。

【笑いの内容別】100歳まで生きたい人の割合

また、「100歳まで生きたい」と思っている人が、最近どんなことで笑ったか聞いてみると、以下のような回答が見られました。

◆子供が楽しそうに学校の話をしてくれたとき(男性40代)

◆家族との会話にて、おならをして臭かったとき笑(男性40代)

◆子供が着替えたと言って見てみると、全部反対だった。(男性40代)

◆加齢と共に忘れ事が多くなり、今日はこんなドジをしたと家族でお互いに話をした時。(男性60代)

◆夫婦の会話の中で勘違いや俳優の名前が思い出せなかった時に大笑いした(男性60代)

◆普段あまりゆっくり話すことのない社員さんと共通の話題で盛り上がったとき。(女性40代)

◆会社の同期会で20~30年ぶりに懐かしい顔に会い思い出話をした時。(女性50代)

◆娘と大好きな推し活の話しで盛り上がって。(女性50代)

◆介護をしている93歳の父が、おいしそうにどら焼きを食べてあるのを見て笑いました。(女性50代)

◆久しぶりに旧友宅を訪問。お互い元気で81歳。抜けた歯を見せ合ってインプラントするかしないか?それだけで大笑い。(女性80代)

何てことのない日常や、加齢に伴う身体の衰えでさえも、誰かと話し、共有することで「笑える」人生の1ページになるようです。

コロナ禍や急速に進むデジタル化の中で人と人とのコミュニケーションやつながりの場が失われつつありますが、意識的に誰かと会話し笑い合う機会をつくることが、100年人生を「生きたい!」と思う活力につながるはず。

最近連絡をあまり取ってない家族や、会うことが少なくなってしまった友人がいらっしゃる方。 「最近こんなことがあってね、笑」と、近況報告をしてみてはいかがでしょうか?

【調査概要】

■調査タイトル:100年生活と笑いに関する調査

■調査対象者 :100年生活者研究所LINE会員(20~80代男女)うち 558名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2023年4月

プロフィール
研究員
伊藤 幹
博報堂入社後、戦略プラナーとして、企業/ブランドの成長と社会課題解決の両立に従事。人と社会の幸福に向き合うプラニングスタイルで、2022年朝日新聞社とともに「ウェルビーイング・アワード」を企画・立ち上げ。