幸せへの鍵は「自己選択」と「納得」!
「人生80年」から「人生100年」へ
「だれもが100歳まで生きるのが当たり前の時代がくる」。 そうは言っても、そんな長さの時間を日常で扱うことは早々ありませんよね。 急に「人生100年」と言われても、自分の身に起こりうることとして想像するのは難しかったりしませんか。
まずは、今なんとなく当たり前だと思っていることを、改めて捉え直してみましょう。
これまでは「教育を受け、現役として働き、60~65歳を目途に引退する」、という生き方が一般的でした。 当たり前になりすぎていて意識しにくいですが、この生き方は、人生というものをだいたい80年くらいと考えているわけですね。 人生が100年になるということは、人の一生を80年、としていたところに、さらに20年が追加されるということです。 単純なたし算ですが、人ひとりが成人するくらいの期間ですから、なかなか長いのではないでしょうか。
当然、現役としての働き方や生き方も、その影響を受けることになります。 教育を受けた後は一つの勤め先で働き、60~65歳で定年する、というのとはまた違った生き方が増える、そんな過渡期が今ということですね。
現役としての期間の生き方は、多様なあり方が認知されるようになってきました。 あまりに多くの可能性が含まれますし、どのような生き方になるかは個人によるところが大きいですが、あえて言葉にするなら、「一つのことに縛られず、さまざまなことに取り組む生き方」、という言い方になるでしょうか。
たとえばキャリアの掛けもち、組織に捉われない働き方、学び直し、ボランティア活動などなど。 これらを飛び移るように経験していくこともあるでしょうし、2つ以上を同時並行でやっていくこともあるでしょう。 さらには、そこに育児が加わることもあるかもしれません。
また、これからは現役として過ごす期間がもっと長くなったり、そもそも「定年だから引退する」という感覚自体が薄れていったりする、ということもありそうですね。
「人生100年時代」的生き方をしたい・している人はどれくらい?
では、こういった比較的新しい、「人生100年時代」的生き方をしたいと思っている人はどれくらいいるのでしょうか。
20歳前後で教育を終えてから、現役を引退するまでの期間の生き方について、「一つのことに縛られず、さまざまなことに取り組む生き方」「主に仕事に取り組む生き方」「主に育児に取り組む生き方」の三択で、アンケートを実施してみました。
【これからの生き方についての意向】
一つのことに縛られず、さまざまなことに取り組む生き方をしたいと答えた人はなんと回答者の8割。
では、どれくらいの人が今そのような生き方をしていると回答しているのでしょうか。
【今の生き方についての認識】
今、一つのことに縛られず、さまざまなことに取り組む生き方をしている、と答えた人は回答者の6割。
「今の生き方」と「これからの生き方の意向」を比べると、これからの生き方において、「さまざまなことに取り組む生き方」が、約2割増えていることがわかります。
一つのことに取り組む生き方を継続したい人たち
ここで、「人生100年時代には、やはりさまざまなことに取り組む生き方がフィットしている!」と論を進めることもできます。
もちろんそういった時代の流れは確実にあるのですが、“今”している生き方を軸に、“これから”したい生き方の回答を見ていると、興味深い発見がありました。
前提として、“これから”選びたい生き方では、「さまざまなことに取り組む生き方」を選びたい人が多くなった分だけ、「主に仕事に取り組む生き方」「主に育児に取り組む生き方」を選びたい人は少なくなっています。
しかし、 “今”「仕事」や「育児」に取り組んでいる人に着目すると、“これからも”同様の生き方を「継続」したい人が、一定数存在することがわかりました。
「継続」したい人の比率は、今「仕事」に取り組んでいる人であれば33%、「育児」であれば38%。
全体における割合の数値と比べると、仕事では約2割、育児では約3割高くなっていました。
【今の生き方別 これからの生き方についての意向】
今回のアンケート結果では、「人生100年時代」的な、さまざまなことに取り組む生き方に対する意向が全体的に高くなっていました。
しかし、“今”「一つのこと」に取り組む生き方をしている人については、“これからも”その生き方を続けたいという人が一定以上いるようです。
新時代の生き方をするより大切なこと
では、 “今”と“これから”で同じ生き方を「継続」したい人に、何か傾向はあるのでしょうか。
これからの生き方について、今と同じ生き方を「継続」したい人と、異なる生き方に「転換」したい人で比較したところ、今と同じ生き方を「継続」したい人の方が、幸福度が高い人が多いことがわかりました。
下のグラフを見ると、今もこれからも「主に仕事」の「仕事継続層」は、「主に仕事」から他の選択肢へ変わった「仕事から転換層」よりも、幸福度が高い人(8点以上)が多いことがわかります。
同様に、今もこれからも「主に育児」の「育児継続層」は、「主に育児」から他の選択肢へ変わった「育児から転換層」よりも幸福度が高い人の割合が多くなっています。
その差は、「さまざまなことに取り組む」の継続層と転換層のものよりも大きくなっています。
【“今”と“これから”の生き方別 幸福度】
その要因として、考えられるのが続く二つです。
●今の生き方を自分で選択したという意識が強い
【“今”と“これから”の生き方別 自己選択意識】
●今の生き方に対する納得度が高い
【“今”と“これから”の生き方別 生き方への納得度】
この2つのグラフを見ると、人生に対する自己選択意識や納得度についても、転換層より継続層の方が高くなっていることがわかります。
このことから、「自己選択」の意識と人生への「納得」が、幸福度に影響を与えていることがうかがえます。
これはもちろん、生き方が一貫しているからいいとか、していないから悪いとかいう話ではありません。
また、自分で人生を選択したという意識が弱く、なりゆきであったと感じていたとしても、納得して生きていくことは可能です。
自分で選んだ生き方だったとしても納得はせず、それをエンジンに生きていくこともあるでしょう。
ただ、「自己選択」や「納得」の作用というのは、思っている以上に強力なものです。
この先の人生を考えたときに、もしなんとなく心に引っかかっていることがあるのなら、そのモヤモヤへの関わりの一手として使ってみてほしいのです。
例えば何か選び直せることがあるか検討したり、自分がより納得できる状況はどういうものかを考えたりしてみるといった具合です。
あなたの100年人生に、ぜひ「自己選択」と「納得」という観点をうまく取り入れてみてください。
【調査概要】
■調査名:人生100年自体の生き方についての調査
■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員10~50代男女546名
■調査手法:LINEによるアンケート調査
■調査期間:2023年10月
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