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2024.02.16

人生100年時代を幸福に生きるための“音活”のススメ

みなさん、“音活”していますか?

とにかく忙しい日々の生活に追われて、いつしか音楽鑑賞や楽器演奏と疎遠になったりしていませんか?

筆者は冬になると比較的家にこもりがちになるためか、毎年のようにアコースティックギターを押入れから引っ張り出してきて、家族と一緒に弾き語りを楽しんでいます。

この記事では、音楽との関わりを“音活(オンカツ)”と名付けて、人生100年時代の音楽とのWell-beingな関わり方を掘り下げていきたいと思います。

“音活”と幸福度の密接な関係

今回も「100年生活者研究所」のLINEアンケートを活用して、音楽と幸福の関係について調査しました。

最初に、最も好きな音楽との関わり方から見ていきましょう。「音楽を聴くことや演奏・歌唱することはまったくない」つまり、まったく“音活”をしていないと答えた方はわずかに5%で、95%の方は何らかの形で“音活”を実施していることがわかりました。特に筆者が意外に思ったのは、20%もの方が「ライブやコンサートに行くこと」が最も好きだと答えていること。多くの方が生の音楽を楽しまれているようです。

【最も好きな音楽との関わり方】

次に、“音活”の内容と幸福度の関係を考察しましょう。

調査結果から明らかになったのは、「“音活”をまったくしていない人」に比べて「音楽を聴いている人(下図:余暇や作業時間に音楽を聴く)」では、幸福度が高い人(幸福度:8~10点)の割合が9ポイント増加することです。

単に音楽を聴くということだけでも幸福に対してポジティブな影響があることが示唆されています。

さらに、幸福度が高い人(幸福度:8~10点)の割合は、「音楽を聴いている人」に対して「ライブやコンサートに行く人」が+6ポイント、「楽器の演奏や歌唱など能動的に音楽を楽しむ人」は+10ポイントと、より直接的かつ能動的に音楽に関わることで、幸福度にポジティブな影響があることも示唆されました。

【“音活”の内容別 幸福度が高い人(8~10点)の割合】

具体的な“音活”の内容を伺ったところ、以下のようなお声を寄せていただきました。「耳なじみのない音楽を聴く」「コンサートに年40回出かける」「人前で演奏する」など、とても多様な“音活”の内容が挙げられました。

【具体的な音楽との関わり方の例】

  • 普段あまり耳馴染みのない音楽を聴くようにしている。最近は南米の音楽がいいなと思うし、よく聞いている。(50代男性)

  • クラシックの演奏会に行くのが趣味。オーケストラやオペラ、バレエやソロコンサートなどに年間で40回ほど出掛ける。(60代女性)

  • 49歳で30年ぶりに再開したピアノは、月に2回レッスンを受けています。また、ピアノサークルにも所属しており、サークル発表会には年に数回参加しています。カフェでの人前演奏も年に6回ほど行っています。(70代女性)

“音活”の好影響

“音活”の好影響について、回答者計では「気分転換・リフレッシュできる」「楽しい気持ちになれる」といった点が挙げられました。回答を“音活”の内容別に分析してみると、「楽器の演奏や歌唱など能動的に音楽を楽しむ人」では、特に「充実した時間を過ごせる」「脳が活性化する」「達成感が得られる」といったスコアが高位となっていました。また、「余暇や作業時間に音楽を聴く人」に対して、「ライブやコンサートに行く人」は、「充実した時間を過ごせる」「仲間とのコミュニケーションが増える」といったスコアが高くなっていました。

ご自身のありたい姿に応じて、“音活”の内容を選んでみるのもよいのかもしれませんね。

【音楽との関わり方と好影響】

“新ジャンル”との出会いが交流の幅を広げる

巣鴨にある当研究所のリビングラボ「100年生活カフェ かたりば」にいらしたYさん(74歳男性)に音楽と幸福の関係についてお話を伺うことができました。

Yさんは昨年、YouTubeで英語の勉強を始めたことがきっかけで洋楽に出会い、「最近は、Daft Pank(ダフト・パンク)やOne Direction(ワン・ダイレクション)などの楽曲を、毎日のように聴いている」そうです。

本記事の読者様は多様な年齢層の方がいらっしゃると思いますので、ご存じない方のために補足させていただきますが、両グループとも世界で最も権威ある音楽賞のひとつといわれるグラミー賞の受賞歴もある世界的なアーティストで、大きなジャンルで言えば、ダンスミュージックに分類される、いわゆるノリノリの楽曲が特徴です。

インタビューの中では、「洋楽は未知の世界だから、言葉もわからないし新しい感じ。でもそれがとても楽しいし、世間が広くなる感じ。気持ちが明るくなる」とおっしゃっていて、まさに“新ジャンル”の音活を楽しまれている様子をお話しいただきました。また、ご自身が興味を持った曲については、通院先やバーなどで知り合う若者との会話の中で、積極的に話題に挙げていらっしゃるそうです。

Yさんは、「若者との交流が好きだし、元気をもらえている」とおっしゃっていて、世代の壁を越えた人間関係を構築されていることがとても印象的でした。

「何歳からでも“新ジャンルの音活”をスタートすることで、新しい出会いや交流が生まれる」ことは、人生100年時代のウェルビーイングな生き方の大きなヒントになると感じました。

今年こそやりたかった“音活”をやってみよう!

現在実施している“音活”と今後(も)実施したい“音活”を比べてみたところ、「ライブやコンサートに行く」「楽器を独りで演奏する」「独りで/仲間とカラオケを楽しむ」といった項目で特にギャップが大きくなっていました。

これからの人生100年時代では、これまでの人生80年時代に比べて20年も長く時間を使うことができます。

もしずっとやりたいなと思っていてできていない“音活”があれば、ぜひ今年こそスタートしてみてください!

この記事がそのきっかけになれたらとても幸いです。

【現在実施している“音活”と今後(も)実施したい“音活”】

【調査概要】

■調査目的:音楽と幸福との関係についての調査

■調査対象者:100年生活研究所 LINE会員 20~80代の男女 815名

■調査手法:LINEによるアンケート調査

■調査期間:2024年1月

プロフィール
研究員
平間 圭太郎
事業会社でのブランドマネジメント・新商品開発などの経験を経て、22年に博報堂に入社。ウェルビーイングとマーケティングのチカラを融合して、世の中をちょっと良くする”Well-being Marketer”を目指しています。