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2025.05.16

 Z世代、Y世代、X世代… 100年時代、世代論と軽やかに心地よく付き合うヒントは“同じトコロ探し”にあった!

X世代、Y世代、Z世代…※。最近よく耳にするこうした言葉たち。

皆さんは、ご自分がどの世代か、世代の特徴はどんなものか、イメージがつきますでしょうか。

特に、1995年~2010年生まれを指す“Z世代”という言葉は、筆者自身がこの世代に属しているからか、毎日必ず、と言っていいほど耳にします。

職場やSNS、書籍に記事、キャッチーなワードだからか何かと取り上げられる“世代論”、確かにこの言葉によって、同世代の連帯感が生まれているようにも感じます。一方で、当事者としてZ世代の特徴をじっくり読むと、「自分には当てはまらないかも…」と思うこともしばしば。 使われ方によっては、“レッテル”のようにも感じてしまいます。

X世代以前、X世代、Y世代、Z世代、それ以降…過ごしてきた時代が異なると、一定、価値観の違いはあるのかもしれません。しかし、“イマ”同じ時代を生きている私たちは、本当にそこまで大きく違うのでしょうか。

人生100年時代、関わる人が増える≒関わる世代が多様化する時代に、“世代”論とどのように向き合っていくべきか。

新たな環境や人との、“出会いの4月”が終わったいま、2800人の皆様から頂戴したご意見から、心地よく世代論と付き合って行く方法を考えてみようと思います!

※定義はいくつか存在しておりますが、年代の本記事内では「X世代=1965年~1979年」「Y世代=1980年~1994年」「Z世代=1995年~2010年生まれ」と置いています。

世代への意識は幸福度につながる!?

まず気になったのが、“自分の世代”を意識する機会が多い方は幸せなのか。2800名の方に「日々のなかで自分の世代を意識するか」と聴取し、意識する方・しない方、それぞれが10点満点中どのくらい幸せなのか、平均点を算出してみました。

その結果、意識する方の平均点が6.5点、意識しない方の平均点が6.7点で、ほとんど変わらないスコアとなりました。

“自分の世代”への解像度を高め、自分と向き合うだけで幸せになれる、という単純なお話でもないようです。

日常の中での“世代意識”×幸福度

“○○世代”と呼ばれることはポジティブ?ネガティブ?

「自分で自分の世代を意識しても幸福にはつながらない」ということはわかりましたが、他者からの目線として“○○世代”と呼びかけられることについては、どのように考えられているのでしょうか。

今度は、「“○○世代”と呼ばれるとどのような気持ちになりますか。」と伺ってみました。

すると、54.4%の方が、「ネガティブに感じる」と回答されました。世代についてわからない方などの中でも、ポジティブな方が2割弱であることから、“世代”への違和感があるのは筆者だけではないのかもしれない、と思ってまいりました。

“○○世代”と呼ばれることへの気持ち

ネガティブに感じる方も多い“世代論”。この“ネガティブな感情”がどこから来るのか、少し深堀して伺ってみました。

すると、TOP3に「個人の特徴や価値感が重視されていないように感じる」「世代ごとの偏見を押しつけられているように感じた」「個人の意見が重視されていない形になっていると思った」が上位に。

どうやら、我々が“世代論”へいいイメージがないのは、“○○世代”と括られることで、自分自身、という“個“と向き合えてもらえていない感覚がするから、なのかもしれませんね。

ネガティブに感じた場面

“世代”ではなく“個”と向き合うための“同じトコロ探し”

ここまでの結果を見ていくと、“世代”を飛び越えた人と人とのコミュニケーションを人は求め、求められている様子がうかがえます。

では、“人と人”が、“個”として向き合うためにはどうすべきなのでしょうか。 ひも解くきっかけを見つけるべく、10個の「大切にしている価値観」から各世代で1位~4位だったものを、ランキング形式で表してみました。

すると、“世代”による大きな差はみられず、どの世代も一定共通した価値観を持っていることがわかります。どの世代でも上位にランクインしていた「大きな目標を達成するよりも安定した生活を送りたい」「自分の時間を最も大切に、他の時間は効率よく過ごしたい」という価値観は、現在の社会を捉えた価値観であると感じます。こうした価値観を、物質的な豊かさを目指し、団結して成果を求めたX世代以前の世代から、他者への共感や自分らしさを何より重視するZ世代まで、共通して持っている。同じ時代を生きる私たちには、時間を共通する“人”として、世代を越えた“同じトコロ“も、存在しているようです。

世代別の大切にしている価値観

この“同じトコロ探し”こそ、世代が違っても、まずは“個”を見つめて会話するきっかけになるのではないでしょうか。ただ、過度に“同じトコロ”を探そうとすると、自ずと“違い”にも目が向き軋轢を生んでしまう可能性も…

より軽やかで心地良く“同じトコロ”に出会うことはできないか、と考えながら、再び調査結果を見つめると、皆様のお声から、1つの答えを頂きました。

今回、調査の最後に、「20歳の誕生日を迎えたご自身へのメッセージ」と「100歳の誕生日を迎えたご自身へのメッセージ」を自由記述で書いていただきました。

100歳の誕生日を迎えたご自身へのメッセージ

20歳のお誕生日≒(多くの方にとって)過去の自分には、これまでのご経験を含んだ個人的なメッセージをたくさん書いていただきました。その一方で、100歳のメッセージ≒未来の自分に対しては、大きく分けるといくつかのパターンが。今回は、目立った4つのカテゴリーのお声を抜粋させていただきました。

皆様のメッセージを見ていると、世代に関係なく、100歳の自分を想像したときの心の動きがうかがえます。100歳より先ももっとこうなっていてほしい!という鼓舞する声から、大変なこともたくさんある100年を生き抜いたことへの感謝、100歳の自分を想像して“イマ”に立ち返る声、100歳を幸せに迎えているかの問いかけまで、さまざまなスタイルが存在していました。こうしたお声を拝読するうち、筆者は「まったく世代が違う方の声だけど、とってもわかる!」「なんて素敵なメッセージ!」「なるほど!確かにそういう考え方もあるのか!」…と思いを巡らせていました。世代による違いは確かにあるかもしれないけれど、「まだ見ぬ未来に思いを巡らせる」という共通の経験を通じて、豊かに、心地よく、融和できている気持ちになりました。“同じトコロ探し”のコツは、“フラットな同じ体験”をしてみることにあるのかもしれません。

記事を読んでくださっている皆さんにも、“フラットな同じ体験”による心地よい“同じトコロ探し”を体感いただけていたらうれしいです。

本記事では、現在の“世代論“について、みなさまの声からひも解いてみました。

人生100年時代は、たくさんの世代の方と関わる機会のある、難しい時代が到来しています。ただ、多くの世代の方が、“100年時代”という想像のできない未来に向けて、ともに進んでいくという目線では、“100年時代”というゴールをともにしている“同じトコロ”を持つ仲間。皆さんにお答えいただいた、“100年時代”に関するトピック自体、“同じトコロ”を発見するための“フラットな同じ体験”にぴったりのトークテーマだったのかもしれないな、と筆者は感じております。

アンケートへのご回答、そして最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!

世代論に少し違和感のあった筆者ですが、面白がりつつも、“人”と向き合うときには、“フラットな同じ体験”から生まれる、“同じトコロ探し”の視点を大事にしたいと、と気持ちが上向きになりました。

【調査概要】

■調査名 :「世代論」についての調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 20代~80代男女 2800名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2025年4月

プロフィール
研究員
根上 小夏
2023年、大広に入社。
高校生の時、広告を見て励まされた経験から、“きもちのスイッチ”を発見できるマーケターを目指しています。忙しくも愛おしい日々に、心が前向きになる瞬間を創りだしていきたいです。